キユーピー マヨネーズ

広がるマヨストーリー 12

マヨネーズの味を決めるのは「お酢」。
だからこそ自分たちで製造しています。

2024.11.13

キユーピー醸造株式会社 研究所・技術グループ

Odahara Makoto

大学卒業後、キユーピー醸造に入社。キユーピー マヨネーズの専用酢をはじめ、酢酸発酵や酢酸菌を生かした研究開発を担当。

  • 発酵に関われる
    環境に惹かれて、
    キユーピー醸造へ。

    私は、キユーピー マヨネーズの専用酢をつくっているキユーピー醸造という会社で研究者として働いています。もともと食べることが好きで食品メーカーに入りたいと考えていたのですが、大学で酵素や微生物を扱う研究室に所属しており、酢酸菌を発酵させてつくるお酢の製造に関わるのはおもしろそうだなと思って入社しました。
    キユーピー醸造には、お酢を製造する生産部門をはじめ営業、経営管理、品質保証など、さまざまな部署があるのですが、私自身は入社以来、お酢や発酵の研究ひとすじに仕事をしています。

  • 理想とする「お酢」を
    つくり続けるために
    専門会社を創設。

    約100年前の1925年にキユーピー マヨネーズが発売された頃の日本ではお酢と言えば米や酒粕を原料とした和風酢がほとんどで、洋風酢はごくわずかしか生産されていませんでした。キユーピー創始者の中島董一郎は、和風酢では自分の理想とする味のマヨネーズはつくれないと考え、国内の醸造メーカーに製造を何度もお願いしますが、希望はかないませんでした。戦後になって、ようやく協力してくれる会社が見つかり、試行錯誤の末にリンゴ果汁やモルトなどを原料とした風味豊かなマヨネーズ専用酢が完成。その後マヨネーズの需要が増えたことに対応するため、1962年にキユーピー醸造が設立されました。
    普通なら、畑違いの原料は専門のメーカーに製造を任せると思うのですが、中島董一郎は「お酢がキユーピー マヨネーズの味の決め手」と考えたからこそ、自分たちの手で製造する体制にしたのだと思います。

  • お酢がマヨネーズの
    コクやフルーティー感を
    生み出している。

    中島董一郎は、お酢の酸味とコクに非常にこだわって開発を進めたと聞いています。そのため原料や、配合、製造方法を変えて、いくつものお酢を試作してマヨネーズをつくるということを何度も繰り返し、現在のお酢をつくり上げたと伝わっています。
    現在のお酢はキユーピー マヨネーズのおいしさにとても効いていて、味の土台になってるんですよね。私も違うお酢を使って試作したマヨネーズを何度か食べたことがありますが、お酢が変わるとマヨネーズの味は全然違います。お酢は酸味を与えるものというイメージがあると思いますが、それだけではありません。コクを与えたり、フルーティーな風味に効いているので、キユーピー マヨネーズの味をつくる上で大きなベースの1つになっているんです。

  • お酢を40年変えずに
    来られたのは、
    大切に守ってきたから。

    現在のお酢が完成してから、基本的なつくり方や配合はこれまで40年以上変えていません。それは理想のお酢が完成したから同じようにつくり続けているわけではありません。さらに良いお酢をつくるために原料や工程の研究や検討は常に行っていますし、より効率的につくるための技術革新にも取り組んできました。その結果、お酢を変えずに来られたのだと言えます。ただ一方で、原料の供給などの外部環境は絶えず変化しています。それだけに、新たなお酢を開発することに勝るとも劣らない労力をかけて、お酢を「変えない」ための努力も続けています。
    発酵に使われる酢酸菌は、お酢の会社それぞれが独自の酢酸菌を保有していて、それをずっと培養し続けて受け継がれていきます。先輩たちから受け継いできた酢酸菌を変えずに、次の時代へ伝えていくことが大切なんです。とは言え、酢酸菌も環境に合わせて変わっていく部分があります。発酵装置が新しくなれば、その環境に合った酢酸菌になっていきます。私たちが技術を進化させれば、酢酸菌もそれに合わせた形で進化していく。ですから、もともとの酢酸菌が全く同じ性質のままというわけでもありません。その点でも同じお酢をつくり続ける難しさがあり、技術や工夫が必要となります。

  • 酢酸菌と「対話」し、
    愛情を持って
    世話をしていく。

    お酢は、微生物を使って発酵させて生み出すことになりますので、原料を入れて混ぜたらできる製品とは違います。なので、日々の状況に応じて酢酸菌が最も働きやすい環境を整えてあげるのですが、私たちが同じように管理していると思っても、やっぱり何か違うことはあるので菌の状態をよく見て、環境の条件を少し変えてあげたり、手を入れてあげるということを行っています。条件を変えた時に酢酸菌はどんな反応をするのか、発酵が良くなるのか悪くなるのか、どんな風味を出すのか。私たちは酢酸菌と「対話」していると思っています。こう変えたら、こういう返答をしてくれたという感じで。そういった中で、愛情を込めて手をかけていく。注意深く様子を見ながら、育てている感じですね。

  • お酢から広がる
    マヨネーズの
    新たな可能性。

    お酢は味の決め手になるだけに、私はお酢によって生まれる「マヨネーズの新たな可能性」をすごく感じています。キユーピー 燻製マヨネーズという商品がありますが、あれはマヨネーズを燻製しているわけではなく、スモークビネガー(燻製酢)を使うことで燻製の香りを生み出しています。まさにお酢の可能性の1つの表れです。マヨネーズのバリエーションを増やしたい。こういう新しいものをつくりたいと商品開発の方が考えた時には、その要望に合ったさまざまなお酢をつくれるような技術をしっかり確立しておく。それが、私たちの大切な使命だと思って研究に取り組んでいます。
    お酢って、そもそも種類がいっぱいありますからね。ご家庭にあるものでも米酢以外にワインビネガーやバルサミコ酢。ヨーロッパにはハニービネガー、ベリービネガーというものもありますし、世界各地にさまざまなお酢があります。それだけ種類が豊富だということは、それだけ可能性があるということなので、マヨネーズの可能性をさらに広げていけると思います。

  • 小田原誠さんの
    オススメレシピ!

    私はマヨネーズのコクが好きなので「えびマヨ」をオススメにしたいと思います。家でつくってもらったり、中華料理店に行くと「頼みたいな」と思うことが多い料理です。メニュー表で目にとまると、やっぱり食べたくなっちゃいますね(笑)。

  • 記事一覧に戻る